ワイルダーは1937年にデトロイトで行なった講演で、ベンター一家の殺人宿について述べています(「大草原のおくりもの」に収録)。インデペンデンスへ行く途中にベンダーの宿があり、客が食堂のテーブルに座って食事をしていると後ろから重いハンマーで頭を打ち砕かれた、とうさんは馬に水をやるためにそこに立ち寄ったが中には入らなかったので助かった、地下室や庭からは多くの遺体が発見され、とうさんは自警団にも加わったと語っています。これと同じ話が「パイオニア・ガール」にもありますが、これはワイルダーの創作かもしれないと 言われています。
ベンダーの殺人宿は実在しましたが、宿があったのは隣の郡で、インデペンデンスに行く途中ではありません。それにベンダーがカンザスに居たのは1871年からで、インガルスは1870年の秋にすでにカンザスを去っています。ですから、インガルスとベンダーの滞在時期は重なっていません。
アメリカ人のファンの多くは、ローズがこの話をどこからか持ち出して来たのではないかといっていました (都合の悪いことはローラではなくローズのせいにされる! Poor Rose! )。どちらが持ち出したにせよ、 歴史上の事実と照らし合わせると、創作に軍杯が上がりそうです。 そうなると、 回想録と言われている「パイオニア・ガール」にしても、どこまでが事実なのだろうという疑問がわいてきますね。
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