ドナルド・ゾカート著のワイルダー伝記には、ローラが初めて汽笛を聞いた話が紹介されています。
「パイオニアガール」にも同じ話があります。ミネソタに移住する途中、インガルスが川べりでキャンプをしていると澄んだ音が聞こえてきました。それはローラが初めて聞いた汽笛でした。ローラたちは、息をのむようにして汽車が通り過ぎるのをみつめていました。
ローラが幼いころは馬車で旅をしていましたが、それが汽車になり、やがて、自動車の時代になりました。ワイルダーは自動車を「ブリキ缶」と呼んで、アルマンゾと一緒に自動車旅行を楽しんでいたようです。そのワイルダーは晩年に飛行機にも乗っています。彼女の過ごした九十年は(1867-1957)、とうさんの言うとおり、「偉大な時」でした。
でも、ワイルダーはそんな時代に危機感をつのらせていたようです。そんな危機感は「長い冬」で、汽車が止まって灯油がなくなってしまったとき、「便利だけど人に頼り過ぎている」いうとうさんの言葉に表れているような気がします。