「大きな森の小さな家」には、月曜日には洗濯、火曜日にはアイロンかけ・・・というように、かあさんの、一週間の家事の予定が描かれています。
同じような予定が「パイオニアガール」にもありますが、かなり後半になってからで、予定表以外にも家畜の世話や菜園の手入れも綴られています。子どもたちが家の仕事をするのは当たり前で、毎日、かあさんと娘たちが、忙しく働いていた様子が伝わってきます。
小さな家シリーズはおいしそうな話でいっぱいですが、ブタの尻尾とならんで美味しそうなのがブラックバードのパイです。トウモロコシ畑を荒らしたブラックバードの大群を、インガルスがパイにして食べてしまう話は「パイオニアガール」に出てきます。ブラックバードパイは美味しかったようですが、「パイオニアガール」にはパイそのものの描写がないので、読んでいても、出版作品ほどおいしそうではありません。
出版作品では、ブラックバードの大群のせいで、とうもろこしの収穫がなくなってしまい、仔牛を売ってメアリの盲学校の費用に充てたことになっています。でも、これはワイルダーとレインの創作の可能性があります。
実在のメアリの盲学校の費用は、ダコタ政府が負担してくれました。最初、ワイルダーはそれを正直に書いたのですが、 ワイルダーもレインもニューディールに反対で、政府に頼らないのをモットーにしていたこともあり、その部分は削除されました。
「パイオニアガール」にはブラックバードの大群でトウモロコシの収穫がダメになったことと、ブラックバードパイがおいしかったこと、ローラが縫い子をして稼いだお金が盲学校進学に役に立ったことには触れていますが、仔牛を売って盲学校の費用を捻出する話はありません。二人は政治的な主張をするために、鳥による被害と盲学校の費用を結び付けて、話を創り上げたのかもしれません。「パイオニアガール」にどんな注釈がつくのか楽しみです。
インガルスの畑は何種類ものブラックバードが襲いました。これはその一つで、パイにされました。大草原のブラックバードパイもどきの作り方はこちらでご覧になれます。