「パイオニアガール」には、出版作品同様、見知らぬ人たちに会うのが苦手なローラが、初めて学校へ行ったときの不安が記されていて、その後に、ブラウン牧師の養女のアイダや、洋装店の娘のメアリー・パワーといったクラスメイトの紹介が続いています。
そのうちの一人にネリーのモデルになったジェネヴィーヴ・マスターズがいます。ジェネヴィーヴ・マスターズは、ネリー・オルソンのモデルになった三人の女性の一人です。ドラマでも有名になったネリー・オルソンは実在の人物ではなく、ネリー・オーエン、ジェネヴィーヴ・マスターズ、ステラ・ギルバートの三人をモデルに創り上げた人物です。
「大草原の小さな町」では、学校で再会したのはネリー・オルソンになっていますが、実際にはジェネヴィーヴ・マスターズだったようです。
「大草原の小さな町」でも「パイオニアガール」でも、ローラはネリー(ジェネヴィーヴ)がクラスに入って来ると、ドレス、肌の色、体型などをすばやく観察して、自分と比較しています。いずれの版でも、ずんぐりむっくりのローラは、女としてネリーに負けたように感じていたようで、オンナというのは、いつの時代でも、どこの国でも、似たようなものなんだなあ、とつくづく思います。
また、ワイルダー先生にしても、キャリーに椅子を揺するよう命じるなど、出版作品と似たような軋轢が描かれています。
晩年、ワイルダーは、義姉のイライザ・ジェインが嫌いだったと告白しています。まあ、日本でもよくある嫁と小姑との軋轢でしょうが、それを作品に書いちゃうところがすごい。アルマンゾは何も言わなかったんだろうか?
我の強い二人だから、気が合いそうもないのはわかるけど、実在のイライザはワイルダーの娘に良い教育を受けさせるために、自分の家に彼女を引き取って面倒をみてくれたんだから、かなり良くしてくれたと思う。だから、そこまで辛辣に書くこともないのでは・・・・と思うけど、しっかり書いちゃうところが、ローラ・インガルス・ワイルダーという人物を物語っていると思います。