年頃の娘だったら、「私と出かけたいんだな」くらい察しがつきそうなものだと思うのですが、どうやら、ローラは違ったようです。ほんとうは文芸会を楽しみにしていたのに、とうさんが行かないなら私も行かないと、「行きません」と答えてしまいました。
アルフレッドが帰ったあとで、とうさんが笑いながら、「おまえを誘いに来たんだよ」と言いました。そのときのローラの反応が、いかにもローラらしいです。
「だったらうじうじ言ってないで、はっきりそう言えばいいのに」
ローラのような我の強い女性には、アルマンゾのような腹の据わった男じゃないと無理でしょう。だから、たとえ一緒に出かけたとしても、この二人は合わなかったでしょうね。それにしても、ホントにローラって色気がナイです。
ワイルダー研究者のジョン・ミラーはワイルダーの評伝で、ワイルダーはかかあ天下で夫をコントロールしていたみたいなことを言っているけれど、「そうかなあ〜?」と思った。もしもそうなら、「はじめの四年間」のような作品は生まれなかったんじゃないのかな? エッセイを読んでも、ワイルダーがどれほど夫を信頼して尊敬していたか、しみじみと伝わって来る。表面上はかかあ天下に見えても、二人は対等の関係で、ワイルダーは夫に負うところが大きかったように思います。