ゾカート著のワイルダーの伝記によると、アルマンゾとローラがお互いを「マンリー」「ベッシー」と呼び合うようになったのは、ブルースターさんの家に下宿していたローラをピックアップするために、アルマンゾがソリで往復していたときに話し合って決めたとなっています。
ウィリアム・アンダーソン著のワイルダー伝記では、新しい軽装馬車で大草原をドライブしていたときに決めたとされています。
ジョン・ミラーやパメラ・ヒル(「パイオニア・ガール」の注釈を担当している研究者)によるワイルダー伝記によれば、ブルースター学校を終えて自宅に戻ってからもローラとアルマンゾは、ソリのドライブに出かけるようになり、そのときに呼び名を話し合ったとなっています。私の持っている「パイオニア・ガール」も同様です。
ゾカートとアンダーソンの伝記には出典が記されていないので、どこから情報を得たのかわかりません。わかったとしても、どれが事実なのかは永遠に謎です。事実に基づいた話と言われている「小さな家」シリーズですが、呼び名を決める話にこれだけバージョンがあるのは、それだけワイルダーが事実に手を加えているからとも言えるでしょう。
ワイルダーと夫のアルマンゾとは、実際には十歳違いでした。でも、出版作品では誤解を避けるために、その差が縮まっています。「パイオニア・ガール」でも同様です。「パイオニア・ガール」は自伝とか回想録と言われていますが、はたしてどこまでが事実なのでしょう?