「この楽しき日々」によれば、アルマンゾとローラは秋に結婚する予定だったのに、姉のイライザ・ジェインと母親が盛大な結婚式を計画していると知って、その前に結婚することにしました。式にはブラウン夫人、アイダ、アイダの婚約者のエルマーが出席。ローラは黒いカシミアのドレスを着て式に望み、ブラウン牧師は、約束どおり、「従う」という言葉は使いませんでした。その後、二人はインガルスの家で食事をして、二人の新居へと向かいました。
「パイオニア・ガール」によると、二人が結婚式をあげたのは、八月二十五日の午前十一時。式には証人としてアイダとエルマーが出席しました。それからインガルスの家で食事をして、新居へと向かっています。
結婚式で着た黒いカシミアのドレスや新居の様子は、細かな描写がありますが、インガルスでの食事の様子はほんのわずかしかありません。
「この楽しき日々」では、インガルスの家を去る哀しみと新しい暮らしへの喜びが半々に描かれていますが、「パイオニア・ガール」では、自分の家を持った喜びの方が強く感じられます。
「小さな家」シリーズは「この楽しき日々」が最終巻となりました。「なぜ続きを書かないの?」と問われたワイルダーは、「悲しいことを書かなくてはならないから」と答えたとそうです。ハッピーエンドで終わらせたかったのでしょう。
でも、ワイルダーは、大人向けの作品の出版にも興味を示したこともあったそうです。おそらくそれが「はじめの四年間」だったのではと推測されています。
「はじめの四年間」は話の上では「この楽しき日々」の続編にあたりますが、 実際に書かれたのは、それよりもかなり前だったとされています。「はじめの四年間」はワイルダーが他界してから発見されたものですが、レインは出版しませんでした。 「はじめの四年間」の挫けそうになるローラではなく、 「小さな家」の強いローラのイメージを守りたかったのでは、と言われています。 でも、 ローズが逝去すると、 弁護士だったマックブライドは原稿を出版社に持ち込みました。 おそらく彼はワイルダーやレインが「小さな家」に込めたメッセージをくみ取れなかったのでしょう。マックブライドの執筆したローズの物語を読むとそう感じることがあります。
その後、 「小さな家」のローラと「はじめの四年間」のローラの違いに気づいたローザ・アン・ムーアの鋭い洞察力によって、 レインが執筆に深く関わっていた事実が明らかになりました。原稿や手紙が公開されたこともあって、 事実と創作との違いや、反ニューディールだったワイルダーの政治見解といった新たな研究が進められることになりました。
「この楽しき日々」と同じように、「パイオニア・ガール」も結婚で幕を閉じます。ですから、この「パイオニアガール」も今回で最後となりました。おつきあいくださってありがとうございました。