「大きな森の小さな家」のじいちゃんの家のダンスパーティーにはジョージおじさんが登場します。とうさんはジョージおじさんを「すっかりあら男になっちまったよ。戦争から帰って来てからな」と言っていました。でも、ローラはジョージおじさんがダンスの相手をしてくれたとき、気に入ってきました。ジョージおじさんは好意的に描かれていますが、「パイオニア・ガール」では、「嫌いだった」とはっきり述べています。
「大きな森の小さな家」では、おじさんは十四歳のときに鼓手になりたくて家出をしたとなっています。でも、史実と照らし合わせると、一八五一年七月生まれのジョージ・W・インガルスは、南北戦争の終結時、まだ十三歳でした。
軍隊でのジョージの足どりを正確につかむのは不可能ですが、十一歳になる直前の一八六二年七月にウィスコンシンの歩兵隊に志願していて、三ヶ月後の十月に脱走しています。歩兵隊に記録されているジョージのミドルネームや出身地は、ほんとうのものではなく、偽ったのかもしれません。
もしも十月に脱走したとしたら、彼はミズーリやアーカンソー周辺にいた可能性があり、戦争が終結するまで南軍の脱走兵と一緒に、家畜や小麦を盗んでいたとも考えられます。
下書きの「パイオニア・ガール」では、ジョージについてほとんど触れていませんが、ブランディット改訂版とバイ版では、戦争によってジョージは人が変わってしまい、雌牛を盗んで逮捕された、戦争が終わったのにわかっていない、という記述があります。
ジョージおじさんはジュリア・バードと結婚して、一九〇一年、四十九歳でウィスコンシンで亡くなりました。
荒くれだったようですが、なかなかのイケメンでした。写真はこちらから。