2015年3月31日火曜日

PGH トレーシーのホテルで DK1

とうさんが鉄道の仕事を得てダコタへ行った後、かあさんと娘たちは荷造りをして、すべてを売り払い、とうさんが送って来てくれた小切手で汽車の切符を買って、トレーシーへ向かいました。

初めて汽車にのってダコタへ向かうとき、「私たちは再び、最高の幸せをもたらしてくれる方角へ乗り出すのです」とワイルダーは述べています。

 「シルバーレイクの岸辺で」では、キャリーとローラが転車台をみたり、トレーシーのホテルでインガルスは他の客と一緒に食事をしたとなっていますが、「パイオニアガール」ではそのシーンはありません。それにトレーシーのホテルは、手入れもされず、流行っていませんでした。

ホテルのご主人によると、かつては彼の妻と妻の妹がホテルを切り盛りしていたそうです。そのご主人と妻、幼い双子の息子たち、妻の妹と恋人で馬車のドライブに出かけとき、雷落雷に遭い、生き残ったのはご主人と幼い双子の息子たちだけで、ご主人には身体に麻痺が残り、幼い息子たちも、しばらくは遊ぼうともしなかったそうです。雷の落ちた金時計には、穴があいて、中は融けていました。落雷の話は、「この楽しき日々」の竜巻に巻き上げられた男の子の話を彷彿させます。

かあさんたちは、とうさんとそのホテルで落ち合い、翌朝、朝食をとってから、とうさんの荷馬車でハイおじさんのいる鉄道のキャンプへと向かいました。


新しい仕事が決まったら、パッと何もかも売り払って、違う土地に移るインガルスの身軽さは羨ましいです。でも、かあさんは出来ることなら、落ち着いた生活がしたかったのでしょうね。



2015年3月27日金曜日

PGH いとこのレナ DK2

「シルバーレイクの岸辺で」によると、ドーシアおばさんはやもめと結婚して、いとこのレナとジーンは彼の連れ子になっています。でも、ほんとうはドーシアおばさんの最初のご主人との子どもでした。ドーシアおばさんは、「大きな森の小さな家」では若い独身の女性になっているため、ワイルダーはいとこたちを連れ子に変えたのです。
実在のドーシアは離婚して、ハイおじさんと再婚。レナとジーン以外に、三人の子どもがいました。

「シルバーレイクの岸辺で」では、ローラはポニーに果敢に飛び乗って遊んでいますが、「パイオニアガール」では、馬に乗ったことがないので怖いと、飛び乗りはしていません。でも、二人で洗濯物を取りに馬車を走らせたときは、楽しかったようで、ほんとうに楽しんでいるのは、馬か自分たちかわからないと述べています。


洗濯物を取りに行ったとき、ローラたちとたいして歳の変わらない、十三歳の女の子が結婚した話を聞いて、二人がギョッとする話は「パイオニアガール」にも登場します。まだ結婚なんかしたくない、誰かに責任をとってもらいたい、と述べていたワイルダーは五年後に十八歳で結婚。ワイルダーより一つ年上のレナは、二十二歳で農夫と結婚。七人の子どもをもうけて、ネブラスカに落ち着きました。


レナとローラは牛の乳をしぼるときに、いつも歌を歌っていましたが、レナが家族と一緒に飯場から去ってしまうと、ローラは一人では歌をうたう気になりませんでした。
ローラが一人でしぼった乳を持って帰ると、かあさんは「乳が少なくて困る」と、よくこぼしていました。ところが、ある日、ローラが歌をうたいながら乳をしぼると、たくさんの乳を出したのです。それ以来、歌をうたうとたくさんの乳を出すけれども、歌わないと少ししか出さないのに、ローラは気づきました。

それから五十年近く経って「パイオニアガール」を執筆していたら、「ラジオをかけながら乳をしぼるとたくさんの乳を出す」という話を偶然聞いて驚いた、と述べています。


「長い冬」では、盲学校行きを希望するメアリに、そっと二十ドルをしのばせたのは、謎の男エドワーズさんでした。でも、「パイオニアガール」では、レナの継父だったハイラムが飯場を去るときに贈ってくれたとなっています。エドワーズさんのエピソードは、ハイラムをモデルにした創作だろうと注釈がついています。

実はメアリだけでなく、かあさんも現金の贈り物をもらったことがあります。鉄道の飯場を去る予定だったアイルランドの家族は、赤ん坊が病気になって、出て行かれなくなりました。ところが、かあさんが赤ん坊の看病してあげたら良くなったので、両親は支払いを申し出ました。でも、かあさんはお金を受け取ろうとはしませんでした。
そして飯場を去る朝、挨拶にやってきた父親は、かあさんと握手をしたときに五ドルを握らせたそうです。

かあさんらしい、とても良いエピソードです。削除されてしまって残念です。 








2015年3月24日火曜日

PGH ホイト医師 WG

メアリーが失明したとき、診てくれたのがホイト先生でした。ホイト先生は「小さな家」にはまったく描かれていませんが、「パイオニアガール」には何度も登場します。
このホイト先生、うさん臭い人物だったようで、医師のモラルが問われるのは、いつの時代でも、どの国でも変わらないようです。

バーオークのホテルには、マスターズ家の甘やかされた年頃の娘がいて、婚約していたホイト先生を誘惑して性的な関係を持ち、結婚しました。先生が婚約していたのは、ローラを養女にしたいと言って来たスター夫人のお嬢さんで、スター夫人のご主人も医師でした。けれども、その五ヶ月後、ホイト医師の妻は内臓疾患で亡くなりました。性的な関係が原因だったと言われています。ローラはとうさんがかあさんに、「先生を奪ったりしなければ、こんなことにならなかったのに」ともらしているのを耳にしています。

「パイオニアガール」は、ホイト先生は奥さんを使って何かの実験していたとも述べています。

マスターズ家にはアルコール中毒のウィルがいました。バーオークのホテルのドアに、銃をぶっぱなした人物です。酒場から遠ざけておくために、父親がウィルをウォルナットグローブに連れて来たのに、ホイト先生はウィルに酒を勧めていた、財産を狙っていたのでは、と「パイオニアガール」は記しています。

注釈によると、そのホイト先生は、妻がなくなってひと月後にほかの女性と結婚しました。ホイト先生の履歴書には、短かった結婚についても、スター医師のもとで見習いをしていたことも触れていませんでした。

 ワイルダーはホイト先生を好ましい人物には描いていません。ホイト先生がメアリを診たとき、ワイルダーはどんな思いだったのでしょう? 

マスターズの娘が先生を誘惑したとき、ワイルダーはまだ小学生でした。ホテルで働いていたといえ、小学生が性に関する大人の醜聞を詳細に知っていたことに、何よりも驚かされます。





2015年3月18日水曜日

PGH メアリの失明 WG4

「パイオニアガール」には、メアリーの失明についてこのように書かれています。

メアリーが突然、頭痛を訴えて瞬く間に病状が悪くなり、一時はもう回復しないのではないかと思われた。メアリは高熱におかされてうわごとを言っていたので、かあさんは涼しくなるようにと長い髪を切ってしまった。ある日、メアリーの顔をみると、発作のため片側はひきつれていた。(かつて暮らしていたウィスコンシンの家の前には二本のオークの樹があった。一本はローラの樹で、もう一本はメアリーの樹だったが)、メアリーの樹は雷にうたれてしまった。メアリーのひきつれた顔は、そのウィスコンシンの樹を思い起こさせた。発作の後、メアリーは回復に向かったが、眼がよく見えなくなった。ホイト医師とウェルカム医師に診てもらったけれども、発作によって神経がおかされてしまい、どうすることも出来ないと言われた。メアリーの病気には長い名前がついていた。十分に回復しなかったはしかが原因だった。メアリーが回復するにつれて、視力は弱くなり、とうとう何も見えなくなってしまった。最後にメアリの見たものは、椅子につかまってメアリーを見上げている、グレイスの青い眼だった。

注釈によると、1879年4月29日付けのレッドウッド・ガゼットという地元の新聞がメアリーの症状を報告しています。「ひどい頭痛を訴えて十日間ほどふせっていて、脳出血を起こしたようで、顔の片側に麻痺している」
三週間たってもメアリーは回復しませんでした。でも、6月12日付の記事は、「ゆっくりと回復に向かっていて、視力も良くなっている」と報告しているので、一時的には視力も良くなったようです。けれども、6月26日付けの記事は「健康を取り戻しているが、視力は回復せず、はっきりとものが見分けられなくなっている。昼と夜の違いはわかるが、このかすかな視力も落ちている」

「パイオニアガール」には、「ウェルカム医師がメアリーを診た」と書かれていますが、注釈には、インガルスの要請を受けてウェルカム医師が来たのかどうかはわからないとあります。ウェルカム医師は親子で医者でした。父親の方は鉄道会社の外科医で、ときおりウォルナットグローブにも立ち寄っていたので、そのときに診た可能性もあるのでは、と推測しています。


チャールズ・インガルスとキャロライン・インガルスは、メアリの視力を回復させるために全力を尽くしたようで、「メアリーをセントポールへ連れて行く予定である。まったく見えなくなってしまったが、彼女は辛抱強く、それを受け入れている」と新聞は記しています。

1937年、ワイルダーはレインに、「あとで聞いたところによると、シカゴの専門医に診てもらったとき、視神経が麻痺しているので、直る見込みはないといわれたそうよ。医師に診てもらうにはお金がかかるでしょう? 医療費にいくらかかったのか知らないけれど、鉄道で働いていたとうさんは、医師への支払いのお金を家に送って来たの」と話しています。

「シルバーレイクの岸辺で」では、ドーシアおばさんがとうさんに、鉄道会社の仕事の話を持ちかけたとき、かあさんは反対しています。けれども、「パイオニアガール」では賛成しています。なぜ賛成したのかは描かれていません。でも、その仕事を受ければ、医師の支払いが出来るからではと、注釈がつけられています。


 ワイルダーはレインに、「メアリーは脊柱か何かの病気があった」と話していますが、現代の専門医は、メアリーの病気は、はしかやしょう紅熱によるものではなく、ウィルス性の脳炎だったと結論づけています。しょう紅熱では失明しないのも解明されています。


「シルバーレイクの岸辺で」では、メアリーの失明はしょう紅熱になっています。実際にワイルダー とメアリー・インガルスは1874年にしょう紅熱にかかっていました。でも、ワイルダーとレインの間で交わされた手紙などを検証した結果、ヒルは「しょう紅熱にしたのは偶然からではないか」と推測しています。メアリの失明をどう描くか話し合っていたとき、レインの手紙にこう書かれているからです。
「それはたいへんな時だった、グレイスが生まれて、ジャックが死に、メアリーが病気になって、・・・しょう紅熱だっけ? どれもプラムクリークの巻とこの巻との間に起きたのよね」

しょう紅熱は「若草物語」などでも知られているため、ワイルダーとレインは、はしかよりも良いと判断したのではないか、とヒルは推測しています。






2015年3月15日日曜日

PGH 雪合戦 WG3

冬になって学校が始まると、弁護士のソープさんが新しい先生になりました。弁護士の仕事があまりないので、先生になったのですが、良い先生だったようです。

その冬は雪が深く、休み時間になるとローラは、男の子たちと雪合戦をして遊んでいました。乱暴な遊びに反対だったメアリが、止めさせようとしても、ローラはおかまいなしでした。
そこである日、メアリはローラの結っていない髪を両手でつかみ、 外へ行かせないようにしたのです。するとローラは、首にぐっと力を入れて、髪をつかんだままのメアリを外へ引きずり出しました。そのとたん、メアリに雪が命中して、ローラの髪を放したのだそうです。
メアリに話を聞いたかあさんは、もう十三歳になるのだから、もっとレディらしくしなさいといわれて、雪合戦はおしまいになった・・・と「パイオニアガール」は述べています。


ローラとメアリの間には、性格の違いからいつも確執がありましたが、「小さな家」ではここまで激しくは描かれていません。「パイオニアガール」では大人になることへの抵抗が、「小さな家」よりも強調されている、とヒルは述べています。


それにしても、いくら反対とはいえ、妹の髪をひっつかんで放さないのが、果たしてレディといえるのかどうか・・・? 二人のケンカなんて、すさまじかったような気がします。 かあさん、たいへんだっただろうな。




2015年3月13日金曜日

PGH マスターズ WG2

インガルスが経営していたバーオークのホテルの扉には、弾丸の跡がありました。以前の所有者だったマスターズさんの息子のウィルが酔っぱらって、逃げる奥さんをめがけて銃をぶっぱなしたからです。そのマスターズさんはウォルナットグローブに移住して、ホテルを経営していました。ウィルも一緒でした。

このマスターズ家は、かなりやっかいものだったようで、「パイオニアガール」にはさまざまなエピソードがあります。

マスターズさんの兄弟の、サム・マスターズはローラたちの学校の先生でした。先生は背が高くひょろっとしていて、息も臭く、頭も禿げていました。その先生には、いやらしい癖がありました。話す時に顔を近づけて来て、女の子の手を握ってなでまわすのです。
あるとき、先生はローラの手をとりました。ローラは握っていた針をすばやく上に向けました。それからは、ローラの手を握ることはなかったそうです。


ネリー・オルソンは三人の実在の人物を基に創り上げた創作上の人物です。そのうちの一人はネリー・オーエンズで、もう一人は、サム・マスターズ先生の娘ジェネヴィーブ・マスターズでした。 彼女はいつもきれいなドレスを着ていて、ニューヨークから来たからと、ほかの女の子たちを見下していました。舌足らずのしゃべり方をして、自分の思い通りにならないと、泣きわめいたり、うそ泣きをするので、ネリー・オーエンズ以外の女の子たちは、彼女のごきげんをとるのに必死だったといいます。


ジェネヴィーブ・マスターズはニューヨークの生まれで、ワイルダーと同い年でした。ダコタ・テリトリーのピエールでカレッジに行き、卒業後は教師をしていました。一八八八年に会計士のウィリアム・レンウィックと結婚するとシカゴへ移住。不幸にも 四十一歳という若さで他界しました。お墓はデスメットにあります。

「パイオニアガール」にはジェネヴィーブの写真も載っています。女優さんのようにあか抜けた美しい女性で、男たちの熱い視線を浴びていたに違いありません。今なら芸能プロダクションからスカウトされるかもしれません。そのくらい綺麗な女性です。
 「パイオニアガール」では、村の女の子の容姿について、茶色い眼だったとか、美しい髪をしていたとか、いろいろ書いてあります。ところが、ジェネヴィーブの容姿にはひと言も触れていません。 その沈黙に、ワイルダーの「女」の部分を感じとってしまうのは、私だけでしょうか?

ジェネヴィーブのお墓はこちらから。

2015年3月9日月曜日

PGH ウォルナットグローブへ WG1

夜逃げしたインガルスは、ウォルナットグローブへ戻ると、とうさんが新しい家を建てるまで、組合教会の教会員だったエンサインさんの家に、同居することになりました。
エンサイン家には、三人の子どもたちがいて、一八七七年当時、いちばん下のハワードは九歳ぐらいでした。

ハワードはローラに気があったらしく、大きくなったら結婚して欲しいと、ローラにプロポーズしました。ローラはしばらく真面目に考えていましたが、ある日、ローラが別の男の子と遊んでいたら、ハワードが泣き出してしまいました。そのときローラの答えが決まりまったそうです。「No!」
 

とうさんが家を建てると、一家は新しい家へ引っ越しました。エンサインとの同居は楽しかったけれども、グレイスが泣いても家族だけなら気を使わなくても良かったからです。

とうさんは家を建て終えると、町に家を借りて、肉屋を始めました。どの家も保存しておいた肉を使い切ってしまったので、とうさんの肉屋は繁盛したようです。
当時、夏の間、鶏肉以外の肉はなかった、肉をとっておけないため、誰も豚や牛を屠殺する人たちがいなかった、とワイルダーはエージェントに説明していました。説明しなければならなかったということは、「パイオニアガール」の執筆時には、あのころの生活がすでに遠くへ過ぎ去ってしまっていたことを意味します。

 「大きな森の小さな家」には屠殺のエビソードがあります。ブタの膀胱を風船代わりに遊んだり、火であぶったブタのしっぽをハフハフいいながら食べたりと、楽しい想い出が綴られています。でも、この話は「パイオニアガール」にはありません。
でも、「はじめの四年間」の屠殺のエピソードでは、自分が屠殺するのとかあさんを手伝うのとは違うと書いているので、「パイオニアガール」に書かなかっただけで、実際には体験していたのでは、と思います。




2015年3月5日木曜日

PGH 夜逃げ IW4

新しい町が好きだったとうさんは、バーオークを、鉄道もない死んだような町だと思っていました。経済的にも苦しく、西部へと帰りたかったけれども、借金をすべて払ってしまうと、お金が残りませんでした。そこで大家のビスビーさんに、後で送るから家賃をまってくれるように頼んだところ、聞き入れてもらえず、もし家賃を払わないなら、馬を取り上げて、それを売って家賃の代わりにするとまで言われました。

 激怒したとうさんは、「今までどんな借金もちゃんと払って来たが、老いぼれの成金ケチ野郎には、ビタ一文払うもんか」と夜逃げすることにしました。以前、一緒に働いていた人が雌牛を買ってくれて、手を差し伸べてくれたのです。
 子どもたちが夜中に起こされると、すべての用意が整っていました・・・・と下書きの「パイオニアガール」ではなっています。


けれどもバイ版の「パイオニアガール」では、夜逃げを正当化するように手が加えられています。法的にはビスビーさんが有利で、もしも家賃を払わずに去ると、とうさんは逮捕されてしまう、するとスター夫妻がローラを養女に欲しいと言って来た、と養女のエピソードがここに組み込まれています。その結果、家族がバラバラにならないように夜逃げをしたと、とうさんを弁護するようになっています。


「小さな家」のとうさんは、いつも家族を守る、頼りがいのある男に描かれていますが、「パイオニアガール」を読むと、実在のチャールズ・インガルスは、経済的に家族を支えるのも難しかったのがわかります。 
日本でドラマが大人気だったころ、たしか有名な評論家の対談だったと思いましたが、
「大草原の小さな家の父親が理想だという声をよく聞くけれども、『ああいう強い男であれ』というのは、弱い男たちにとってしんどいものだ」
と述べていました。


ネットで検索していると、「小さな家」のインガルスが理想の家族という女性の声をよく見かけます。また、最近の日本の女性たちは、専業主婦志向が多いとも聞きます。彼女たちは「パイオニアガール」の経済力のないとうさんをどう評価するのでしょうか?


経済力のない夫や父親を責めたりせずに、自分も働いて、共に家族を支えていたキャロラインやローラは、自立した女性だなと思います。 




2015年3月1日日曜日

PGH スター夫人 IW3

ある日、ローラが学校から戻ると、隣人のスター夫人がかあさんと話をしていました。スター夫妻には二人の娘がいましたが、二人とも大きくなって家を離れてしまい、夫人は寂しくてたまらないから、ローラを養女にくれないか、そうしたら娘のように可愛がるから、という話でした。夫人の夫は医師でしたから、経済的にはインガルスよりも余裕のある生活をしていたはずです。でも、かあさんが微笑みながら、ローラなしではやっていかれません、と告げると、夫人は肩を落として帰って行ったそうです。


バイ版の「パイオニアガール」では、このエピソードに下記が付け加えられています。
「ローラは安心した。でも、それ以来、スター夫人のことを想うと奇妙な感情におそわれた。とうさん、かあさん、メアリ、キャリー、グレイスがいなければ、自分はローラ・インガルスという自分自身でいられなくなってしまうというものだ。夫人が自分を家族から引き離そうとしたことを、できるだけ早く忘れてしまいたいたかった」
 ワイルダーがほんとうにそう思ったのか、それとも話を面白くするためにつけ加えたのか、わかりません。注釈には何も書いてありません。


でも、 「はじめの四年間」でボーストさんに娘のローズを馬と交換して欲しいと頼まれたとき、ワイルダーは、あのときのかあさんの気持が、心から理解できたでしょう。