2015年5月13日水曜日

PGH 干し草作り DK9

「長い冬」には、とうさんの干し草作りを手伝って良いか、ローラがかあさんに尋ねるくだりがあります。アメリカの女は畑仕事はしない、畑仕事をするのは外国人の女だけなので、畑仕事をして欲しくなかったけれども、とうさんが人手が必要なので、かあさんはしぶしぶ許可しています。
ところが、「パイオニアガール」では、ローラもかあさんも、とうさんの干し草作りを手伝っています。「長い冬」と「パイオニアガール」のかあさんには、大きな違いがみられます。


「大草原の小さな家」のかあさんは、丸太小屋を作る手伝いをするなど、伝統的な女性の仕事以外の仕事をこなしています。それなのに、なぜ「長い冬」のかあさんは躊躇しているのでしょう? 
変更の理由は明確ではないとしながらも、「畑仕事をするのは外国人の女だけだ」という記述によって、ワイルダーは開拓地の社会の在り方を描き、慣習にとらわれずに成長するローラを描きたかったのではないか、とヒルは推測しています。
けれども、当時、ヨーロッパ系アメリカ人の女性も、ヨーロッパ系移民の女性も、必要にかられて、あるいは自らの意志で、本来、男性の仕事とされる畑仕事に携わっていた、とも書き添えています。


また、「長い冬」では干し草の棒をよるのは、とうさんとローラだけですが、「パイオニアガール」では、かあさんもよっています。ワイルダーは干し草の棒は、厳しい冬を乗り切るためにあみ出された知恵だったように描いていますが、それ以前から、草原地方では使われていました。


原書の「長い冬」では、「外国人」はforeignersとなっています。初めて「長い冬」を読んだとき、この外国人というのがわかりませんでした。移民を指すと気づいたのはかなり経ってからです。昔、移民は外国人で、アメリカ人とみなされず、そういう意識が言葉に反映されているのかもしれません。最近はimmigrantという言葉を使います。今、移民をforeignerと呼んだら、差別という声があがって問題になる気がします。


「小さな家」のかあさんは、菜園を切り盛りしているから畑仕事をしていると思うかもしれません。でも、開拓時代、菜園は女性の仕事とされ、男性の畑仕事とは別と考えられていました。


「シルバーレイクの岸辺で」には、コットンウッドの若木を植える話があります。でも、「パイオニアガール」では若木ではなく、種をまいています。コットンウッドは成長が早いので、草原地方ではよく植樹されまた。かつてインガルスの開拓農地だった場所にコットンウッドの樹があって、ワイルダー協会はインガルスが植えたものと紹介していますが、アメリカ人のファンの間では疑問の声もあがっています。